ヒヨコは区別できない?

裁判所がヒヨコは区別できないと判決しました。たしかに、ヒヨコのオスメスを鑑別するのも高度な技術を要しますね。

先週は面白い話題が新聞やNHKテレビで報道されました。福岡市にある老舗菓子メーカー「ひよ子本舗吉野堂」が販売するひよこ形菓子の立体商標登録を知財高裁が11月29日に、「ひよこ形の立体商標はどこの商品か識別できない」と否定したのです。特許庁が立体商標登録を認めた審決を取り消したのです。

裁判長は、「全国の23業者がひよこ形の菓子を製造販売していて、ひよこの形状自体は単純でありふれていて、形で誰の商品か認識できるとは認められない」と判断したようです。ちなみに、商標法第3条で「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものについては商標登録を受けることができる」と規定しています。

ひよ子本舗吉野堂が「ひよ子」を2003年8月に立体商標登録して、同様な菓子を製造販売している二鶴堂を商標権侵害で2004年3月に訴えた(販売中止を求めた)のが事の始まりのようです。

これに対抗して二鶴堂が2004年9月に商標権登録無効を特許庁に請求したのですが、 特許庁は2005年8月の審決で、「形はありふれているが、ひよ子は年間約50億円の販売実績があり、広く流通していて、商標法の規定を満たす」と登録を有効と判断したのです。

その審決を不服として商標法第63条に従って二鶴堂が審決取り消しを求めて知財高裁に訴えたのです。

ひよ子本舗吉野堂が二鶴堂を商標権侵害で訴えなければ、「ひよ子」の立体商標が存続して、「ひよ子」の宣伝(販売促進)に役立ったかもしれません。

特許等でも言えますが、工業所有権を他社の商売の邪魔をするためにのみ活用しようすると、このような反撃にあって、権利そのものを失うことがありえます。「辛子明太子」は最初に考案した創業者が商標登録や特許登録をしないで他社にも製造販売させたので日本全国に広がったようです。

来週は立体商標について復習してみましょう。

これを機会に、商標の実務を勉強したい方に役立つ参考書を下に紹介します。必要に応じて勉強して下さい。

商標法

実例で見る商標審査基準の解説

会社の商標実務マニュアル―登録からブランド防衛まで

最新判例からみる商標法の実務

別の私のブログ「あれこれ興味のむくまま」、「知財Now」を読んで下さっていますか。先週、「世界のマグロ争奪戦」と、「若手社員の高い離職率」に関する記事を書きました。





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この記事へのコメント

周防の国の住人
2006年12月07日 16:26
子供の頃いつも夕方KBC(九州朝日放送)のアニメ番組の提供が「ひよこ」だったので良くおぼえています。
当時から、既に色あせた画像のCMで、なんでこんなに古い映像を使っているのか不思議でなりませんでした。
九州朝日放送でしたから、当然「ひよこ」=福岡のおみやげという図式ができあがっていたので、東京にも
「ひよこ」があるときいて、なんでそんなに真似したがるんだ、東京の人間は?と。いぶかしく思ったものです。
優れた技術をもって、人々の趣向にあった製品を送り出した、ひよ子本舗吉野堂は、その技術で商品価値を守るべきだったように思えてなりません。
昨今、長い時間と苦労の多い技術力での成長より、簡単に大金を稼ぐことができる知的財産の活用が増えてきている事に、技術の進歩が停滞しているのではないかと思えてなりません。
知的財産は金次第
2006年12月07日 16:41
昨今、長い時間と苦労の多い技術力での成長より、簡単に大金を稼ぐことができる知的財産の活用が増えてきている事に、技術の進歩が停滞しているのではないかと思えてなりません。知的財産での争い事も資本力次第というのは、IT企業をみているとよくわかります。優れた技術をもって市場に売り出し、好評を得ている商品から、大資本を持っている企業が無断で技術を盗み、そのことを開発した企業が裁判に訴え出ても、長引く裁判に、企業の資金繰りが厳しくなり、結局、盗んだ方の大企業に開発企業ごと買収されたり、開発元の会社が倒産してしまい裁判が継続できなくなったりして結局資本力にものをいわせて、違法がまかり通る案件を何件もみていると、「結局は悪いことしても、札束で頬を叩けば、何事も解決する」というのが現実ではないでしょうか。
札束の厚さ?
2006年12月08日 13:47
今回の件は、頬を叩いた札束の厚さが足りなかったのか、もしくは叩いた回数
が少なかったということでは。
知財亭来幸
2006年12月09日 20:22
「周防の国の住人」さんと「知的財産は金次第」さん、心のこもったコメント有難う御座います。

ひよ子本舗吉野堂さんは、折角登録できた立体商標を大事にすべきでした。

イソップ物語に出てくる、「欲張りな犬」の物語を思い出します。橋の上で、川面に映ったお肉をくわえた自分の姿を見て、それもよこせと吼えたら、自分がくわえていた肉が川に落ちてしまいました。

ひよ子本舗吉野堂さんは弁護士さんに助言されて、訴訟に及んだのかも知れません。経営者の立場で考える必要もあったのではないでしょうか。

知財を自分の金儲けだけ使うのではだめですね。自分と相手と、双方に利益をもたらす活用が望まれます。

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